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 (活動報告・2023年度高大連携講座)
 [活動報告]
 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月8日から「5類」に移行し、感染状況もいくらか落ち着いたように見えます。本委員会も感染対策に留意しながらほぼ例年通りの活動を続けることができています。
 2ヶ月毎のペースで行っている例会では現在,桃木至朗編『ものがつなぐ世界史』(ミネルヴァ書房、2021年)の読書会を,行っております。毛皮や帆船,火薬原料などをテーマとした論文を読み,活発に議論を交わしました。人々の生活に密着したモノに注目することで,歴史がよりいっそう生き生きとした姿になることを日々実感しております。その他にも、教材交換や歴史関係の大会の報告なども行っています。

 [2023年度高大連携講座]
 本委員会の夏の主要な行事が高大連携講座です。3日間にわたり,毎日ひとつのテーマについて,午前中は,高校の教員と大学の教員が高校生向けに授業を行い,午後は教員で研究協議を行っております。
 一昨年度の講座では生徒は対面,教員はオンラインという形での開催となりました。昨年度は久しぶりに生徒,教員ともに会場に集まって講座を開催することができました。そして,今年度も同様に生徒,教員供に会場に集まる形で開催することができました。
 今年度は,「結びつく世界をどう学ぶか?Ⅱ-16~17世紀のユーラシア-」をテーマに行いました。これまでの流れを振り返りますと,高大連携講座のとしては,アジアをテーマに約10年,一昨年度までの4回はヨーロッパに対象地域を絞って講座を行って参りました。昨年度からは「結びつく世界」をテーマとして広い地域の歴史を横断的に学ぶ講座に変わり,これまでと同様,多くの高校生の皆さん,先生方にご参加いただきました。新テーマ第2回目となる今回は,鎌倉学園中学校高校を会場にお借りしての開催となりました。今年度は,新科目「世界史探究」もはじまり,地域ごとの歴史にとどまらず,地域間のつながりも踏まえた歴史の学びも求められており,そこに注目することを意図してテーマを設定いたしました。3日間のテーマと講師は以下の通りです。
8月8日「16~17世紀のユーラシア東部」
中田稔(県立大磯高校),杉山清彦(東京大学)
8月9日「16~17世紀のユーラシア中央部」
本田六朗(県立横浜緑園高校),前田弘毅(東京都立大学)
8月10日「16~17世紀のユーラシア西部」
矢景裕子(神戸大学附属中等教育学校),古谷大輔(大阪大学)
 ※古谷大輔先生(大阪大学)には,3日間を通じてのコーデイネーターをお務めいただきました。
 ここ最近の傾向として,高校生の質問は歴史の本質を問うようなレベルの高いものになっています。今年度も,例年通り多くの質問が寄せられました。
 そのこともおそらく刺激となり、先生方の質問も活発なものとなっています。午後の研究協議では,午前中のうちに,生徒と先生方にグーグルフォームにより質問を投稿していただき,その質問に基づいて質疑応答を進めているのですが,時間内にすべての質問を紹介することができませんでした。質問していただいた生徒たち,先生方には申し訳なく思うと同時に,多くの「問い」が出されたことをおおいに喜びたいと思います。

 ▲高大連携講座の様子(鎌倉学園)
 来年度は,18世紀のユーラシアを扱う予定です。今年度以上に,質の高い講座にすべく早速準備を始めています。ぜひ1人でも多くの方に参加していただきたいと思います。
 また、世界史研究推進委員会にも参加していただける先生方も募集しています。ご関心ある方は気軽にご連絡ください。
(県立新栄高等学校 大賀 佐和子)

(神奈川県高等学校教科研究会社会科部会報第91号より)